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TITLE2024.01.15

木と暮らすデザインKYOTOのパートナーを訪ねる -平山日用品店 前編-

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宇治市槙島町で、無垢の木などを用いたオリジナル・オーダー家具を製作されている「平山日用品店」。店舗に足を踏み入れれば、美しい木製家具が目に留ります。今回は平山和彦さん、真喜子さんご夫妻に暮らしと共にある木や家具についてお話を伺います。

■「平山日用品店」ついて

―平山真喜子さん(以下真喜子さん)無垢の木をメインにオーダーメイドやオリジナルの家具を製作しています。店舗の奥が工場になっていて、そこで実際に作っています。個人のお客さんからはテーブルや造作家具をオーダーいただいたり、デザイナーさんや工務店さんからも家具製作の依頼を受けています。私はデザインを担当して、製作は夫(平山和彦さん)が担当し、分担して活動しています。

―平山和彦さん(以下和彦さん)無垢の木をメインにオーダーの家具を作っているものですから、どうしても量産のものと比べると少し値の張るものになってしまいます。それでも、長く使える良いものを製作していますので、日常の中でどんどん使って生活に組み込んでもらって、気を遣いすぎずに「日用品」として使っていただければと思い、「平山日用品店」という名前にしました。小物や雑貨だけでなく家具も普段使いのものと思ってもらえるような、そういったものを届けられればという思いが込められています。よく、変わった名前ですねと言われるんです。何屋ですかって言われたら、家具屋なんですけど(笑)

「木と暮らすデザイン」を知ったきっかけを教えてください。

―(真喜子さん)ウッドデザイン賞を受賞したのがきっかけです。私たちのオリジナル折り畳み椅子の「patol stool」をずっと国産材で作りたいという思いがあり形にした国産材シリーズがウッドデザイン賞を受賞させていただきました。同年、木と暮らすデザインKYOTOも受賞されており、同じ京都ということもありお声がけいただきました。ぜひ一緒に何かできたら面白いなと思い、木と暮らすデザインパートナーに登録しました。

■「patol stool(パトルスツール)」について

平山日用品店のpatol stoolは、「紐蝶番」を用いた折り畳みスツールです。木製ながら1.5kg〜と軽量で、室内、屋外を問わず、様々なシーンで活躍します。簡単にパタパタと折りたたむことができる特徴があります。

―(和彦さん)patol stoolには「パッと折る」という意味があります。毎年名古屋で「木工家ウィークNAGOYA」という木工のイベントがあり、 その中に「木工家がつくる椅子展」があるんですね。毎年テーマがあって、 6年前は折り畳み椅子がテーマだったんですよ。 そこに出展するために折り畳み椅子を作ろうと思い製作をはじめました。よくある折り畳みのパイプ椅子のような動きではなく、全く違う新しい動きのものができないかと考えていました。patol stoolは「紐蝶番(ひもちょうばん)」がポイントです。前職で紐蝶番を使った風炉先屏風を制作したことがあり、あれを使えばパネル状のものをパタパタパタっと折りたためる椅子ができるんじゃないかなと思い至って作り始めました。

―(真喜子さん)「折りたたむ」を形にしたかったって言ってたね。

―(和彦さん)そうそう。「折りたたむ」っていう言葉をそのまま形にしたようなものができたら面白いなと思ったんです。それで紐蝶番を使って試作を…全然製作秘話っぽくないんですけど(笑)2個試作品を作ったらほぼ完成形になりました。

―(真喜子さん)二週間くらいで出来ちゃったね。(笑)

―(和彦さん)そう、降りてきちゃった(笑)そのあと細かいところは考えましたけど、原型はすぐにできました。初めて作ったのはダイニングチェアサイズのpatol stoolでした。今は沢山サイズとかスタイルがあるんですけど、当時は展示のために作ったので量産とか予算については考えていませんでした。patol stoolが出来たのは、前職や今までの経験が活きたからだと思います。中でも紐蝶番を知っていたことが一番大きいですね。紐蝶番や、「折りたたむ」という行為自体が日本的に感じますから、文化的一面も持った椅子だと思います。

■patol stool国産材シリーズ制作に至ったきっかけ

―(和彦さん)埼玉県三富地域の地域材を使うという取り組みに参加したのがきっかけでした。普通ならそのまま切り倒されてチップになってしまう雑木林の広葉樹を家具にして使えるものにしていきましょうという活動をしている方に誘っていただきました。

―(真喜子さん)雑木は径が大きなものが少なく、木材自体細かったり薄かったりするものが多いです。patol stoolはそういう材を使うのに向いているんです。その結果、できたものが良かったので、ウッドデザイン賞にも出しました。

―(和彦さん)やっぱりpatol stoolは、珍しいものというか、あまり見たことがない形ですから、皆さんの目を引くような存在になってくれたので。これをきっかけにいろんな人が声をかけてくれるようになりました。影響がすごくて。さっきお話しした名古屋の展示会では、人生で一番褒められました(笑)

―(真喜子さん)いろんな人に褒められました(笑)「Land of KOUGEI」 の展示の時に、ホリモクさん(※1)にみやこ杣木のケヤキを分けていただいて京都の地域材のpatol stoolができました。他にも正座が楽になる「patol stool SEIZA」という商品もあります。お尻の下に入れると、太ももの上に自分の体重がかからなくなるのでとても楽に座ることができます。これも国産材で作っています。(※1ホリモク株式会社/木と暮らすデザインKYOTOパートナー)

―(真喜子さん)一度、海外向けにヒノキでpatol stoolを作ろうという計画がありました。ただ、patol stoolに使用するには材を厚くしなければいけなくなったので今はなかなか進められていないのですが、海外に発信しようともしています。ヒノキのすっと白い感じは日本を感じますし、材料も日本のもので統一したいなと。ただ現状のデザインのままヒノキに置き換えるのは難しいので、試作をして早く形にしたいですね。

■無垢の木を使って家具を製作する理由

―(真喜子さん)経年変化が楽しめるということが木材の良さだと思っています。店舗に置いてあるテーブルは、うちの子たちが3歳ぐらいまで使ってたテーブルなんですよ。なので、傷が結構ついていて天板なんか、フォークでガーッてやられたおかげでブツブツとなっていたりするんです(笑)そういった思い出も刻まれていくし、使い込むと味が出てくるというか、雰囲気も良くなっていくような。家族の一員として長く使ってもらいたいなという思いもあり、無垢の木を使っています。

―(和彦さん)無垢の木はだんだん良くなっていきますよね。例えば、突板(つきいた)やプリントシートで仕上げたものはできあがった時が1番綺麗なんですよね。一方、無垢の木でできた家具は傷はつくんですけどそれが味として残ったり、思い出や歴史として刻まれていて。それに手入れすれば、傷もさほど気にならなくなります。むしろまた艶が出てきて綺麗になっていきます。そうやって長く使い続けられるところがいいところですよね。

あとは作る点でも、椅子は特に削り込んで色々形を作れる面白さがあります。突板でつくるような家具だと制限があるので、削り出しの造形ができる点も特徴だと思います。

■オーダー家具と木材について

―(真喜子さん)突板と無垢の木に関してはやっぱり一長一短があると思っているので、長く使っていただくためにオーダーいただいた際はそれぞれの良さをお話しておすすめしています。ちょっと使いにくいなと思って使ってもらうのは、やっぱり嫌なので。

―(和彦さん)突板は、軽くできたりとか、反りにくいとか、あとはコスト面などたくさん利点もありますから。特に作り付けの家具なんかだと突板を使うことが結構あります。

■家具をデザイン、製作する上で大切にしていること

―(真喜子さん)さっきの話とも通じるんですが、特にオーダーのものであれば、ずっと使っていただくためにも、お客様がどういう風なことを求められているかということを見極めてオーダー以上のことをご提案できるようにと思っています。特に椅子は座り心地が大切なので、「こんなの作ってください」と言われたものをそのまま作ると、座りにくいということもありますから、デザインは定番から選んでいただきます。樹種や高さはそれぞれのお客様に合わせてご提案します。新作を作る時は、自分で欲しいものを作っています。その時に大事にしていることが、あまり無駄なことをしないということです。「必要な形である」ということを大事にして、シンプルに作っています。

―(和彦さん)意味のあるデザインですよね。僕らは彫刻的なものとかデザイン的になりすぎるとか、そういうアート的なものとは違うものを作ります。背中と背もたれがこういう風に当たってほしいからこの形になるとか、構造的に必要だからここに部材が入るとか、そういうことをベースにデザインしています。まあその中でもちょっと面白くないなという時もあるので、その時は少しお化粧するぐらいのやりすぎないデザインを妻は意識しているんだと思います。僕が一からデザインを考えると、作ることに頭が行き過ぎて構造的なことや作りやすさを考えて線を書いてしまいます。逆に妻はそういったことを知らないので、自由な線を書いてもらっています。2人の間で、バランスを取って、何回も試作をします。 僕だけで作ると「これだけ太くしていれば壊れないでしょ」みたいな部材のチョイスをしてしまったりするんです。だけど、妻が「いや、もっと細い方が綺麗でしょ」と言って…それを作ってみたら「できたね」みたいな。そんなことを2人で繰り返しながら作っています。

―(真喜子さん)その反対もあるんですけどね(笑)だからこそたくさんやり取りをして、その結果、いいものを作りたいという気持ちがあります。椅子は試作品をたくさん作るので適当な材料を使い、作ってみて、座り心地を確認して、そうして最終形に近づけながら作っていきます。

家具作りにおける木材の特徴を活かしながら必要な機能・形を追及したデザインで生み出す、お二人のコラボレーションによって完成する平山日用品店のオーダー・オリジナル家具。「暮らしのなかで永く愛され、使い続けてもらうことを大切に」そんな願いが家具からも伝わってくるのではないでしょうか。

今回お話いただいた「patol stool(パトルスツール)」は、平山日用品店公式サイトでも詳細をご覧いただけます。ぜひそちらもご覧ください。

次回は、市内産木材についての考えや、実行委員として活動されている「きょうと椅子」展について詳しくお話を伺おうと思います。更新をお待ちください。

平山日用品店 https://hirayama-ten.com/

patol stool https://hirayama-ten.com/archives/11728

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